小野不由美『白銀の墟 玄の月』③④感想(旧ブログより転載)

十二国記の新刊続きですよ!!

『白銀の墟 玄の月』第三巻、第四巻 十二国記 - 小野不由美
https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/

 

 白銀4巻さぁ、こ、これ、どうやって収拾つけるの!?!?って残りの本の薄さに震えながら読んでたよね…。

端末の設定にもよるけど紙の本ならではの焦りでハラハラ感が増してすごかった。

英章はまだか!?項梁は何やってんだ!!??出てくるよね、出てくるよね!!??それとも心中END!!??神獣だけに!!!???ってめちゃくちゃドキドキしたよー!

 

ていうかぶっちゃけるとこれ来年短編集が発売されることを知っていなかったら暴動が起こるでしょ!!!(そうかな!?)
阿選と琅燦の心情とかもっと見たいな~特に琅燦……。なんだったの…。

いや阿選はわりとしっかり描写されていたけど最後どうなったかとかそのへん詳しく知りたいし…。

阿選が私なんかの思っていたよりもずっとずっとずっとデカすぎる感情を驍宗に向けていたので改めてハァッ……………となった。
それに対して驍宗から阿選へのアレコレも作中できちんと語られていたのに、こっちはめっちゃドライで湿度差が激しい。阿選ベチャベチャ!驍宗パサパサ!!(カラカラ?)

温度は同じでも湿度が全然違うんだもんなんか……。そういう…そういうところだぞ………!!

今作で驍宗すごい好きになってしまった。

 

結局これは戴国の物語であり泰王と泰麒の物語なので、そこに至るまでのイベントは適性キャラクターに役割が振られてるけど大切なところは驍宗でなければ、泰麒でなければクリアできなかったかんじがした。

王さま達は天というか麒麟に選ばれるだけあって失道するまでは自身を省みたり殊勝だったりするかもしれないけど、やっぱり驍宗と阿選もそこが全然違ったんだよ…。

経歴などのガワが下手に似ていたせいでこんな悲劇が…ってかんじ。
というのも、王や麒麟や換えのきかないキャラクターに関してはこの人にしか無理だった……と思わされ唸らされることばかりだったんだけど、民草は生きているかんじがすごくするにもかかわらず役割を振られたNPCっぽくもすごくあり、ということは阿選の振られた役割は(阿選は名前のあるモブキャラではないけれど)『ちょっと見では王に似てるけど似てるだけで実は全然違う奴』だと思うので……だって六年間の対比がやり切ってしまったとはいえ片や鬱(聞いた。)で片や巌窟王なんだもん……。

それとももしこれが逆の立場ならそうなってたの!?無いでしょ。無い無い。

 

阿選もベチャベチャしてて心情的に気の毒といえば気の毒だったけど阿選の麾下のまともな人達はもっと気の毒だったし(そしてそこが熱く描写されていたし)民はもっと気の毒だったので嫉妬はやはり大罪のひとつですよ…。

私は阿選のこの感情をもっとも簡単に表す言葉として嫉妬を使っているけど阿選本人にとっては絶望という感覚なのがハァ~~~~~!!!そうなんだろうなあ~~~~!!ってなるわけです。

阿選がさぁ驍宗のこと半殺しにしたら死なないように手元で養ってあげよ♥って予定してたのに、ダイナマイト妖魔の威力が予想以上にデカすぎて失敗したのもめちゃくちゃ面白いんだよな…。

 

驍宗と阿選が似てる似てるって話なんだけど、どちらかといえば麾下の人達の性質が似通ってたからそう思っちゃうんじゃないかな、麾下の人達は名前のあるNPCっぽいから……。

4巻まで読み終わってみると『役割が先にあって』というかんじだったので一回最後まで読んで役割を把握したらキャラクターの名前とか所属少しは結びついたり覚えられるかもしれない。周回必須。

 

とか言ってたんだけど、

https://shinchosha.co.jp/12kokuki/author_comment/1.html

インタビュー読んだらこの印象にかなり納得が行ったぞ!!!

(現在は非公開かも。本当はもっとキャラクター出す予定だったけど人数減らしてその人達の役割もそれぞれ削られなかったキャラクターに割り振ったみたいなやつ)

 

でも各イベントを消化するには各キャラクターが細かくフラグを建てている必要があって………というのをいくつもいくつもいくつもクリアしてようやく辿り着いた結末だったのでもう本当、本当主上は西王母なんだよな………(?)

 

4巻通して一番泣いたの飛燕のところなんだけど(めちゃくちゃ悲しい…本当に悲しい…一番悲しかった……)始終鳥肌立ってたのは泰麒の様々なシーンで、泰麒が麒麟には無理だと言われているようなことを何かする度に魔性の子で死んだ人達のこととかも思い出してとにかくハチャメチャにウギャー(涙)ってなってたし、泰麒が広瀬のことを想ってくれていたことにも泣けたし……。

 

いや私もね!?泰麒がそんな驍宗様を裏切るなんて最初から疑ったりなんてしてなかったんですけどね!?でもほら、そこは読者なので…主上がさ…項梁が泰麒に疑心を抱くように誘導し、読者が項梁に共感するように誘導していたわけで……ね!いや、私はね!?信じていましたがね!?そりゃ泰麒こえー!何考えてるか全然わからん!やっぱり麒麟は人間とは違うわ!とかね!一ヶ月前には言ってましたがね……とかここまで言い訳並べてたら完全に私が張運やんけとなってしまったのだった。

はーーー作家の掌の上でコロコロされるの楽しいよ~~~!

 

4巻まで読んでも琅燦が何考えてるかわからないんだけど、王と麒麟システムという宗教に縛られていない朱旌が天意を試して実験してるとして、その結果(天にも抜け穴的なバグや過ちはある?)を知ることが望みなのかそれともその先に本当の目的があるのか???

琅燦(とか琅燦を預けた?人物???)がもしこの世界のバグを上手く突いたり利用することによりなんだかんだのすえに朱旌の国を作れたとしたらこのシリーズ十二国記じゃなくて十三国記になってしまわない!?!?バグを突かれただけで天が認めてないならそれは無い???

短編で琅燦のことがもっと詳しく描かれてるとイイナ……。こればっかり言ってるな。

ていうか多分、琅燦は阿選を唆したり妖魔の使い方教えたり最悪なこと色々やってるけど戴国自体をここまでメチャクチャにするつもりは無くて、阿選が琅燦の予想よりずっとベチャベチャだったんだと思う……。それで色々手を回してたんじゃないかなあ…やべっ!思ったよりこいつ全然王の器に近いとかでもなんでもなかったわ!!!これじゃガチで国やばくなるやんけ!みたいな……違うか。

 

私は斡由のこととかクソ野郎だと思ってるんだけど同じクソ野郎でも同性間似た者同士(実際は本質はそこまで似てなかったと私は思うが)への行き過ぎた行き場の無いデカ感情が動機という点で阿選のこともクソ野郎だとは思いつつ若干甘く見てしまう。

被害の大きさが人死にの多さというならやらかしたこと的には斡由よりずっと最悪ですが。

驍宗も泰麒(要)も自身は自身で出来ることをしようと真面目にコツコツ生きているのに生きてるだけで周りを狂わせてしまうのも嫌なところで似たもの主従だ………。

 

ていうか斡由とか張運とかの他人を犠牲にしても無理やり社会に上手く溶け込むことはできている精神障害の症状っぽさとか阿選の嫉妬の描写とかなんかやけに生々しいんだよな…。十二国記の悪役はリアルにいたら王とか関係なく絶対関わり合いになりたくないタイプ……。

フィクションは面白ければそれで良い(それが一番大事)では全然無いんだよな……と白銀を読んで改めて思った。

読んでる途中、面白くなってきた!という部分はいくつもあったんだけど、(『面白さ』の定義にもよるけど)読み終わってから清々しく「面白かったーーー!!」とは到底言えないタイプの作品だったし、勿論『面白い』を軽く見ているわけではないんだけど、それよりもつらさやしんどさや虚しさや悲しみや痛みや理不尽さや凄味がまさってしまい……黄昏もかなりしんどかったんだけど。

(いや驍宗が一人で黙々と生き延びて自力で脱出したのはめちゃくちゃ面白くて阿選との対比とか考えて実際ちょっと笑ってしまうんだけど)

これはゲド戦記3巻以降読んだ時の気持ちに少し似ている。
わかりやすく希望が見えているのは救い。黄昏のラストのほうがエエエこれどうすんのぉ……ってなったし……。

短編で自分が気になった落ち穂は納得のいく形で拾われるかな…やっぱりここにめちゃくちゃ期待してしまう…。

 

あんまり関係無いけど何故か私は轍囲の話をそんなに大昔の話だと思ってなかったので供物を流してた人の祖父だか父だかそれくらい昔の話だと知って妙にびっくりしちゃった。

神仙(籍に入ってる人)は見た目に惑わされがちだけどよく考えたら驍宗とかも年齢ならおじいちゃんなのか~ってなった。

逆にあの世界の普通の人達の寿命そんなに長くなさそうだからそこまで大昔でもないのかな…?本編漢字を読むのに精一杯でちゃんと書かれているのに理解してないことが沢山ありそう。

 

あの状況でストイックに自分のやるべきことを一人で黙々とこなしてきた驍宗マジで王だし、こんなふうに思っても救われるわけではないけれど民の犠牲が供物を流していたことで間接的(いやめちゃくちゃ直接的ですが)に王を生かし民を救ったことが壮大すぎて泣けてしまい、私は単純なので自分も清く正しく生きねばならん…とか一瞬思ってしまった。

正直、驍宗が自力で脱出したのめちゃくちゃ面白かったし銀色の髪の亜里沙とかスケバン刑事の神恭一郎だったのすごく驍宗らしいけどめちゃくちゃ面白くて3巻読み終わってすぐTwitter開いてふせったーに書いたよね。

羅喉の命名めっちゃ本当に計都ゲットした時(もしくはそれより前)から決めていたんだね感があって可愛かった。

通りすがりの騶虞…あれも天の采配なのだろうか…。

 

ラストというか刑場での王の帰還の絵面はここだけでもアニメで見たいと思わせるドラマチックなものでしたが行方不明になっている人や死んでしまった人も大勢いるのでそこを考えると単純にヤッターーーーー!!!みたいなカタルシスではないんだよね。

まさかあのおっかないお金持ちの商家の女傑の人が協力してくれたぞわーい!からの死!!!みたいな上げて落としまくる展開とかもあったわけだし(冬器作ってた人たちもみんな死んじゃったのかなあ…)
あのラストの史書みたいなやつによるとあの後もまだまだ阿選討伐には結構時間かかってるらしいし。

ううう短編集…落ち穂拾い…楽しみにしています。

 

あと雁主従が登場した時の安心感というか脳内で鳴り響く勝利のファンファーレはすごいですね。もう何も怖くない。

犠牲がシャレにならない多さだったこともあって、黄昏の岸(魔性の子)で他の国のみんなも協力してあんなに大変な思いしてたのにそんな~~~~;;;って思ってたんだけど、他国の支援という阿選の盲点はやっぱり大きかったんだなと思うとなんか本当、供物のイベントといい人生に無駄なことなんてひとつもないのかなみたいな気持ちになってしまう…。無駄(遊び)は無駄で大事だけど。

 

とにかく戴国の人たちに幸せになってほしいな!

それにしてもこんなに無駄に長いだけでとりとめもなさすぎる感想があるか…?

あとで自分で見て意味わかるのかどうか不安…。

とにかく待った甲斐のある良き読書体験でした!

色々あったけど主従が再会出来てシンプルに嬉しい。

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