神坂一 『スレイヤーズ 10巻 ソラリアの謀略』

泥棒のエピソード、「パジャマ姿の男に言い寄られる」を拷問みたいな扱いにしているのがテンプレ的というか、珍しく結構キツめのホモフォビアがナチュラルに飛び出してきたのでちょっとびっくりした。
発行された1995年の空気感を思い出すとたしかにこういう描写自体は珍しくなかったかもしれないけど、今誰かに勧める時には注意する必要があるかも。

スレイヤーズ、「本当にそんなに昔の小説なのか?」と驚くほど、変なふうに引っかかる描写が殆ど無かったので。
リナが胸のサイズを気にするところとかは良くないオタク向けコンテンツだな〜と思うけど、逆に言えば嫌な引っかかりってそのくらいしかないわけだし。

でも泥棒いわく史上最低の悪口が「あのリナ=インバース以下だ!☝」なのはブチギレするリナ含めて朗らかに笑った。

鬼みたいな交渉といい、倫理観の死んだ民主主義の概念といい、リナの故郷は修羅の国なの…?
毒の味がわかるようになるまでみっちり仕込まれたというのもスパルタすぎる。
リナのお姉ちゃん何者なんだ…ガーヴと良い勝負出来るとかいう、なんとかの騎士なのか…??

今回の舞台であるソラリア・シティは、増改築していく度に区画が増えてどんどん迷路のようになっていく土地の歪み方の描写がそれっぽくてすごく面白かった。自分だったら地図持ってても町中で遭難するかも(方向音痴)

迷路のような街で黒ずくめ達に追いかけられたり忍び込んだりするイベントが多くてハラハラした。土地の特徴がピンチに自然な影響を及ぼしてるのわかりやすくて良い。

謎の覆面男、顔を隠しているからには過去に会ったことのある奴か顔を知られては困る有名人か何かだろうし、何者だろう!?と思って読んでたら、リナがガウリイと出会う前に一緒にヤンチャした時の連れだったらしい。
それだけだと「へー…(誰だよ)」ってなって白けたかもしれないけど、『特別捜査官』という厳つくてわかりやすい肩書があったのであんまり気にならなかったな。

でもやっぱルヴィナガルドの話とか過去作知ってる人には嬉しいサービスだったりするのだろうか。
読んでなくても必要最低限の意味がわかったので普通に面白かったと思います。
え!?ていうかもしかして表紙の金髪おじさん、これがワイザーさんなのか…?🤔イメージ違うかも…?
本編中のイラストは昔の仮面ライダーみたいだな〜と思った。

前回、初登場時の印象が全体的に良くなかったルークも今回はだいぶ面白くて良かったな。
治癒かけてもらって照れくさそうにリナにお礼言えるの偉いでちゅね…👶🍼

ルークとミリーナの二人は宝探し屋(トレジャー・ハンター)らしい。

研究室の実験体を見てルークがキレるの、倫理を重んじるヒーローキャラクターのようでいてどこか自分ごとのような怒りも見て取れるので、そこらへんは危なっかしくて怖い気もする。

個人的にルークをいけ好かないな〜〜〜と思う理由のひとつが、「ミリーナへの依存がなんか怖い」という部分なので、ここらへんが良いふうに作用してる時はイイね〜🤗ってかんじで見てられるんだけど、まあ私も人間あんま好きじゃないから「人間キライになっちまいそーだぜ……」とか言うルークくんにはウンウン頷くなどした。

それに対して「私も人間よ。そして、あなたも」と返すミリーナのことは読者もますます好きになるやつだった。
依頼を断った相手が死体で発見されたために…、というエピソードから、ミリーナには人間的な良心とか善性があるな〜と思いました。
真実を探ろうとする姿は美しいので。

「らぶらぶ」とかおどけて言ってるけど、リナに伝言を持ってきたあたりでも示されているように、ルークの社会性とか安定ってかなりミリーナの存在によって担保されてるところが大きそうなので、(尻に敷かれてるとかなんとか言い合ったりもしていた)リナとガウリイとはまた全然違った関係性に見える。

もしかしてミリーナもルークに依存してたりするのかな。
ミリーナは赤毛が嫌いらしいけど、リナはこれ茶髪か。栗毛色とか描写されてた気もするな。

黒ずくめの人魔戦は途中ちょっとタルかったけど、最後、仰向けに倒れ込んで下半身の隙を狙うラーヴァス戦は面白かった。
ザイン変わっちゃったので寂しい。間抜けなザインくんはもう居ない。

ラーヴァスに攻撃が効かない理由、我が身可愛い小物ゆえ魔法の道具で装備をかためているからという種明かしもやっぱりRPGっぽい。
これが判明する前の戦闘は負けイベントなんだろうな(判明したところで何がどうなるわけでもない)

トライアンドエラーで敵の戦い方をしっかり見極めたらあとは自分にできることなんでもやって勝利を掴むリナは研究者っぽさがあって良い。
トライアンドエラーの人なので失敗も結構するんだよね。わりとドジだし。でも落ち込む時間がほぼゼロなのは強みだな〜。

ガウリイの剣て今回手に入れた謎の魔力剣で決まり?さすがにそれはあっさりしすぎかな?
リナのショルダーガードといい、得体のしれない持ち物が増えていくのはなんらかの前フリなのかな。
なんか他にもお城で色々くすねてきたっぽいけどここらへんは売り払ってお金にするのかな〜。

「……ったく……物好きな……」
あたしのことばに、ガウリイは苦笑を浮かべ、ぽんっ、とあたしの頭に手を置いて、
「……ま。いーか。
何にしても、お前さんにはとことんつき合ってやるつもりだしな」
「ありがと。自称保護者さん」

61ページより引用

リナみたいな奴の頭に手を置いても許されるどころかお礼まで言われるのガウリイすごいな…と改めて思うなどした。

第二部というひとつの長いお話全体の起承転結というか、序破急の序部分みたいな味わいだったな、9巻と10巻。
シェーラも気になるし、おそらく11巻もまだ序の部分をやるのかな〜?みたいな雰囲気。
いやでもすでに着々と物語は進んではいるのかな…?
普通に面白くなってきたので続きも楽しみ。

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