神坂一 『スレイヤーズ 14巻 セレンティアの憎悪』

今回の舞台も面白いな〜😄とかノンキこいてたのに半分くらいまで読んだあたりで「え、えらいことになった……」としか言えなくなってしまった。

これミリーナ本当に死んじゃったの!?嘘でしょ!?あっけなさすぎない!?
この子達の大冒険を思えばいつ死んでもおかしくない部分は確かにあるんだけど、まさにそこらへんに関しても作中でルークが言ってるわけで、身も蓋もないよぉ…。

「……魔族たちと戦ってよ……
もう絶対ダメだ、って思った時が何回あったか……
けどそのたびに、俺たちはなんとか生き残って――勝ち抜いてきた…………
……そのはずなのに……
ゾードなんて、二流野郎に、ミリーナは……
……信じられねえよな……実際……
変だよな……本当……」

159ページより引用

でもこういう身も蓋もないところこそが誠実だとも思う。
スレイヤーズの湿度設定どうなってるんだ!?これがハードボイルドってやつですか!!??
愚かさがマジでメギドレベルじゃん!!!!!

ルークの復讐、対象を心底苦しめてから殺そうと思ってたのに初手ショック死されちゃうのは『ひぐらしのなく頃に』の園崎お魎の死に方なんかも思い出す。

ミリーナの死も、復讐が思うように行かないのも、神官達をそそのかして憎悪の種を蒔いた魔族のショボさも、それぞれヒヤリハットみたいなレベルなので逆に迫力がある。

ヅェヌイにリナさん怒りのドラグスレイブがキマったのはほぼ唯一スカッとしたエピソードだったけど、単純にスカッとできる場面でもないんだよなぁ…。
あっさり倒せちゃったからこそ「こんな奴に……」という気持ちが強まるわけだし…。

なんだかんだで地に足のついた泥臭い部分がこのシリーズの魅力だと思っていたけど、まさかこういう形でシビアさを見せられるとは思ってなかったな…。

アリアとベルの姉妹とか、ジェイドくんなんかはそれでもファンタジーノベルフィクション的ドラマチックな悲劇性があるじゃないですか…!?
でもミリーナの死に方って妙に現実的というか、どちらかというとミステリ小説とかに出てくる復讐劇の動機みたいなのでやるせなくてびっくりする。

クリムゾン、降魔と段階を踏んで着実にネームドキャラクターのロストをやってたのかな。
ジェイドくんの死で防御のかまえでも取っておくか…!とは思ったけど、まさかな〜…こんなな〜……どちらかというとルークのほうが死ぬかと思っていただけにハア〜…そっか〜……悲しいなあ…。

 

2ヶ月前の謎の火事で神官長と本院を失った寺院都市セレンティ・シティ。
次の神官長を決めるにあたって街にはギスついた空気が流れており、寺院との癒着激しい魔道士協会から依頼され、4人の大神官を監視することになったリナ達。
各寺院の神官はそれぞれ保身のためにゴロツキや傭兵を雇っていたが、その中にはなんと過去にリナとやりあったことのあるゾードとかいう奴がいて(ていうか私コイツ覚えていないんですが誰だっけ!!!???)更に別口でルークとミリーナも用心棒として雇われていた。

時間稼ぎに気付かず、かすっただけのゾードの剣に塗られていた毒が体中に回って倒れるミリーナ。
ルークは必死になり各神殿に助けを求めて奔走するが、大神官達はくだらない権力争いにかまけて死にかけのミリーナを冷たく見捨てるばかり。
ルークとミリーナの雇い主であるケレスにもミリーナを治すことは出来ず、ミリーナは死んでしまう。
ミリーナを失ったルークはリナ達の前から姿を消し、次に再会した時は憎悪にまみれた悲しい復讐鬼になっていた。



みたいな話だったと思う。多分…。
(びっくりしすぎて半分より前の記憶がだいぶあやしいので感想を読み返した時にわからなくならないように覚えてる限りを書き出しました)

 

今回はリナがかなり動揺を見せてて、さすがにそれはそうだよな!!??と思ったし、ルークにもしおまえらが相棒をこんなふうに失ったらどうするのか?憎悪にかられずにいられるのか?と聞かれて自分に当てはめたところ、ルークの復讐を「止められない」と思ってしまうあたり、リナさん所謂クソデカ感情をナチュラル開陳してくれてサンキューですね!!??ではあるんだけど、読者としては今それどころじゃないんだよなみたいなかんじだった。情緒がメチャクチャ!

憎悪と復讐を自分では止められないけど二人に止めてほしがってるルークが終始切なくて、ここで、「いや、彼が本当は止めて欲しがってるはずだ」と信じて動けるガウリイは本当にすごいよ…負けた(?)よ……あまりにも素直で善良な人間だよ……リナの側にいてくれてありがとうね…😭(誰目線なのか)

愚痴っぽいけど、なにげにケレスもすごい奴だなと思う。
本当は死にたいわけがないけど、惨劇を止めるために自己犠牲を選ぼうとすることが出来る奴、後悔と反省の気持ちからだとしてもまずそれが出来ない奴を見せられたあとなので余計にすごいと思う。
でもそういう奴なら尚のこと役目は辞退するよな…こんなの社会のバグですよ。

 

ていうかルークのミリーナに依存してるところが危なっかしいから嫌〜〜〜😠とか思ってたのにこんなことある!!??
二部の構成マジで巧みすぎないですか!?
ショックだけど普通に感心しちゃったよ。
こんなの多分作者の計画通りじゃん。

やっぱミリーナに出会って宝探し屋始める前ってカタギっぽいかんじではなかったんだねルーク。
ルークが『人間』でいられたのは不器用ながらも善良で芯の通ったミリーナが側にいてくれたからなんだろうな…。

ルークまた出てくるのかな?
これ以上闇落ちとかしたらミリーナも悲しむと思うからそういう方向には行ってほしくないですが…。

二人の最後の会話って明かされるのかなあ…。

 

魔族という存在もほぼ無敵に見えて実は人間にはありえない弱点があるのが面白い。
まあ人間の中にもメンツだの対面だのプライドだのにこだわって自身を省みることなく周りごと破壊しつくすタイプはいるけど、魔族の場合はガチで命に関わるからメンツが本当に重要なんですね。

そういえば「嘘は言わないけど本当のことも言わないいやらしさ」の説明でゼロスが匂わされてるのちょっと面白かった。

後書きを読んで、そうか…アメリアとかが居たらミリーナ死ぬことなかったかもしれないんだ……!?ということにようやく思い至って余計にああ〜〜〜…てなった。やるせないよぉ…。
(実際は居たとしてもなんだかんだでミリーナの死はまぬがれないプロットにしていたと書かれている)

あと後書きによると、ゼルガディスとアメリアの二人を第二部にも出してほしいっていう読者も多かったらしいことを知った。

次で二部終わりらしいけど、ここに来てこんなことになっちゃってどうなるんだろう…。

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