ファイト・クラブを初めて読んだんだけど、すごく面白くて思わず悪い萌えを抱いてしまった。
以下ネタバレとかあるメモ。
ここメチャ(悪い)萌えポのひとつ👇
“「男に生まれ、キリスト教徒で、アメリカ在住なら、神のモデルは父親だ。しかしもし、父親を知らずに育ったら、たとえば父親が蒸発したり死んだり家にいつかなかったりしたら、神のどこを信じられる?」
〔中略〕 「その場合どうなるかというと」メカニックは言う。「死ぬまで父親と神を探し続けることになる」
「ここで考えに入れなくてはならないのは」メカニックは言う。「自分が神に好かれていない可能性だ。神は人類を憎んでいるかもしれない。とはいえ、それは起こりえる最悪の事態ではない」まったく関心を持たれないよりも、罪を犯して神の注意を引くほうがましだというのがタイラーの持論だ。神の憎悪は神の無関心よりましだからだろう。 神の最大の敵となるか、無になるかの二者択一だとしたら、さあ、どちらを選ぶ?
タイラー・ダーデンによれば、ぼくらは歴史に名を残す偉業を成し遂げる優秀な長子ではなく、特別にかわいがられる末っ子でもない、神の真ん中の子供だ。
神の関心を得られないなら、天罰も贖罪も期待できない。
どちらがより忌まわしいだろう。
地獄か、無か。
赦されるには、罪を見とがめられ罰を下されるしかない。”チャック・パラニューク 著/池田 真紀子 翻訳『ファイト・クラブ』より
悪趣味なヘキの話なんだけど、フィクションコンテンツにおける概念やメタファーを含む「去勢」ネタに弱いため、まさにド真ん中そういう話であるファイト・クラブが予想以上に面白くて、ジワジワずっとファイト・クラブのことを考えてしまっている。
ここは軽率な萌えポ(真面目に考えると作品全体の抱えるテーマというか答えのひとつにかなり迫っている気がするので結構難しいポイントと思うものの浅瀬の同一人物CPが好きなオタクは……!)👇
“ぼくはタイラー・ダーデンのすべてを愛している。あいつの度胸や利口さを愛している。あの大胆さも愛している。タイラーは冗談がうまくてチャーミングで説得力があって何ものにも頼らない。周囲はあいつを尊敬し、あいつなら自分らの世界を変えられると期待している。タイラーは有能で自由だ。でも、ぼくはそうじゃない。”
チャック・パラニューク 著/池田 真紀子 翻訳『ファイト・クラブ』より
BLだよBL!!!
ボーイズなんらかのでっかい感情フィクションコンテンツは最高!
後書きで、「ファイト・クラブは華麗なるギャツビーの現代版」的なことが書かれてて、なんかちょっとワカル……!!!になった。
ファイト・クラブ、オチまで完璧というか、オチが良いんだよなむしろ。
ここまで鬱屈して拗らせたあれやこれやをアナーキーに暴れさせておきながら、最後の弾丸が……、というのに青い鳥みというか哀れを催す良さがある。
主人公の名前が明かされないの、プレイヤーが名前を入力することで自己投影感がより強められるタイプのゲームっぽさもあって内容的にもかなりアリな手法だな……と思った。
資本主義社会の消費文化に対する批判とかも勿論あるんだろうけど、ホモソーシャルなマッチョイズムに対しても実はめちゃくちゃ批判的な眼差しが感じられるのでそこが好きなのかもしれない。
「男は男がだ〜いすき♥(何故なら女と違って男は対等な『人間』だから)」的な心の動きをなんの衒いもなくエモく描けるようなコンテンツに心惹かれがちなの我ながら良くないオタクだな〜〜〜〜!!!!とは思うんだけど、批判的な眼差しがありつつも「男は男が略」をやってるコンテンツに出会えるとめちゃくちゃ嬉しくなってしまう。
しかしエロコンテンツの食ザー描写が(人間が陵辱されるよりも料理が陵辱されることがつらいため)苦手な私にとってはなかなか厳しい部分があった。
しかも後書きによるとそこらじゅうにある実話っぽくてさらに嫌〜〜〜!!!😭
“さらに、この映画とその原作であるチャック・パラニュークの小説は、二〇一〇年代半ばになってから、オルタナ右翼と呼ばれる新しい右翼運動支持者たちから愛されるようになりました。オルタナ右翼は白人至上主義や男性中心主義が特徴で、ドナルド・トランプの支持層だと言われています。
たしかに『ファイト・クラブ』には、陰謀論、男性性への渇望、既存の体制や社会秩序に対する疑い、暴力の美化、強くてカリスマ的なリーダーであるタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)など、オルタナ右翼に参加する白人男性が喜びそうなテーマがたっぷり入っています。
社会に不満を抱く男性たちに大人気のこの映画ですが、そうした解釈は表面だけをなぞった浅いもので、むしろ『ファイト・クラブ』はオルタナ右翼的な考えを批判する作品だという解釈をとる人たちもいます。さらに、この作品は女性に人気がないというわけではありません。”
北村紗衣 著『お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』より引用
ファイト・クラブがオルタナ右翼に愛されているという話も、むしろそういったものを批判している風にも読めるという話も、実は女性人気もあるという話もどれもものすごく納得しちゃったな……。
アマプラにあるみたいなので映画も見たいと思う。
原作は夢の中にでもいるみたいにポンポン飛ぶカットがすごかったけど、どういうかんじに映像化してるんだろう。

※コメントは最大10000文字、5回まで送信できます