今昔百鬼拾遺 鬼 /著: 京極 夏彦
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※以下の本の感想とネタバレが含まれます。というか殆どをヒトごろしを読んだ当時の感想が占めています。
京極夏彦 『ヒトごろし』 | 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/339612/
これは『ヒトごろし』を読んだ当時の感想です。
>2018年9月12日
『ヒトごろし』は人を殺したくて殺したくて仕方が無いサイコパスな土方歳三が主人公なんだけど、人を殺しても裁かれたくないという理由から、人殺しを許されるシステムとしての新選組を作り上げてくところが面白くて、この土方さんはめちゃ鬼畜内面人外クール野郎なんだけど、隊士はバカばかりだしお金は無いし屯所は狭いしやることは市中の見廻りぐらいだし京都の人達からは忌み嫌われてるしオマケに組内で男色がこんなに流行るなんて想定外だし…って頭抱えるところとか妙な愛嬌があってめちゃくちゃ笑ってしまった。
長いし登場人物多いし歴史よくわからないしで結構ぼんやり読んでたんだけど各章ごとに「そう来たか~~~!」みたいな驚きとかも用意されてたので飽きずに読めた。
あと何より人殺すシーンとかがめっちゃエロティック!
特にお気に入りなのは山南さんのところなんだけど、土方さんが自分のサイコパス的な動機の為に新選組を利用してたことを耳元で囁いて告白しながら山南さんの肉を抉るのが最高だったし溝鼠こと沖田くんの役割もなかなか見ないタイプの沖田くんで面白かった。
土方歳三が主役なので兼さんこと和泉守兼定(刀剣乱舞で存在を知ったよ)も大活躍なんだけど、この和泉守兼定もまた入手の仕方がロマンに溢れてエロティックな存在だったと思う。むしろメインだと思って読んでた。
沖田くんのみならず小姓の人もそういうキャラ!?ってなってちょっと無理やり感もあったけど同じヤベ〜キャラだと私のイチオシは監察の山崎丞です。
沖田くんも相当可愛いけどね…たとえば土方さん曰く溝鼠のような目をして「ひとをころしましょうよぉ♥としぞうにいさん♥」って迫ってガチギレした土方さんに血反吐吐くまでボコボコにされるけど土方さん以外にはヤベ〜本性を隠してるから殴られたことも怪我も隠すしかなくて、何も知らない近藤さんがひとりだけキョトン???てなってるみたいな…!な!な!!可愛い〜。
ラストめちゃくちゃよかったなあ。そう来るか…?でもやっぱりそう来るよな…?き、キター!!!みたいな謎の感動に包まれた。
臍曲がりだからこその最後の決断と行動がたまらないし、目の前の女と、原体験にある姉の姿を重ねるのを読んで、これがエモいってやつかな…!?と思った。姉弟ものは最高なので。『ヒトでなし』の関係者(多分)や『書楼弔堂』の勝海舟(多分)も出てきたので、あの辺も読んでるとまた面白さプラスされるかもだけどこれだけでも読めて面白かったですよ。
私は土方さんのことサイコパスサイコパスって言ってるけどサイコパスの特徴に当てはまるところばかりでもないし『死ねばいいのに』のケンヤとか『ヒトでなし』の主人公系のキャラクターなんだよな…とも思う。その時代の人間社会のルールと本人の資質が噛み合ってないんだけど迎合しようとせずに開き直ってる?かんじが…。
最後のほうで明かされる沖田くんの件とか虎徹の件の近藤さんマジでマジでグワーッてなるんだけどそれはそれとして人間的に愚かだったり学が無かったり褒められて調子乗ってるあくまでもつけ上がった田舎の百姓だったりして永倉さんとか怒らせちゃった近藤さんの描写がめっちゃ近藤勇てかんじでよかった。
土方さんは人並みの喜びとか悲しみとかの感情がわからなくて、褒められて浮かれてる人間を見てどんな気持ちなんだろう…?ってなるようなサイコパス野郎だし、死にたがりは絶対に殺さないとかいう臍曲がりだけど絶対近藤さんのことは好きだったでしょ…利用できるからだけじゃなくてさ……。スン…。
で、今回読んだ『今昔百鬼拾遺 鬼』
京極堂シリーズのスピンオフで京極堂は出てこないらしいけど敦子ちゃんが出てくるらしい?とだけ聞いて読んだわけですが、絡新婦の理の内容をすっかり忘れていた私は呉美由紀…知ってる…気がする……!……誰!?みたいな状態でした。
事件は昭和の辻斬り事件。凶器は日本刀。迚も怖い。
推理とかしないで会話を楽しみながら読んでたんだけど、敦ちゃんて他の人視点だと天真爛漫ハツラツ元気お転婆職業婦人みたいなかんじなのに敦ちゃん視点になると結構拗らせていそうな部分や危うそうな部分があってちょっとびっくりしてしまう。まあ好きですが。
というか本人がかなり自分と兄の京極堂を比べてる部分があるんですよね。でもあれと比べて自分は足りないなあとか思うのは無理だよやめなよ……となった。
敦子は記者ではあるけれど探偵には向かないというのを読んで、このシリーズを代表する探偵キャラを思い出して妙に納得しつつ、今回一番好きだったのは美由紀による正論感情的パンチ(パンチではない)だったので、この美由紀のぶちまけこそが拙くはあるけれどこの本における憑き物落としパートだったのかもしれないなあと思いました。
『鬼』が『新選組の鬼の副長・土方歳三』に繋がった瞬間、漢字は違うけど読み方が同じだなあとのんきに読んでいた人物との繋がり(ヒトごろしとのリンク)にすごく興奮しました。
ほ、ほぼヒトごろしの続編じゃんこれ…!
あとまあどうでもいいんですけど私なぜか鳥口くんのことをずっと大柄で逞しいとは思っていなかったので今作の
>鳥口は割と大柄で逞しく、鼻の尖った樺太犬のような男だ。
って部分でエエエ!?!?ってびっくりしてしまった。イメージ修正…イメージ修正……!
それともこれってあくまでも敦子視点なのだろうか…?
事件の真相としては考えて(推理して)読んでいて分かる人にしてみたらシンプルというかストレートなものだったかも?
消去法で考えると犯人がわかる…かも。みんなが誰をかばっているかを考えると犯人がわかる…かも。
あ、子供のような刑事さんも良いキャラしてたな。
真相に対してやっぱりいちばん印象深かったのは美由紀の正論感情的パンチだな~。絡新婦の理もまた読み返したくなりましたね。
面白かったので河童と天狗も読んでみよ~っと!
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