去年ダラダラとすごく時間をかけて読んだ本「熱源」(著 川越 宗一)
Twitterに垂れ流していた感想メモ(2020年11月~12月のもの)をひとつの記事にまとめたものです。
まず地名や人名や時代背景が難しかった。ゴールデンカムイでいうところのあの辺か〜〜〜みたいな地理やエピソードが沢山出てきたせいで脳内イメージがゴールデンカムイぽく再生されていた。
もうずっとすごく「人間」の話をしている小説だな……と思って読んでたんだけど終盤の「アイヌとはアイヌ語で人を意味します」のところでそうなんだよなあーーー!!となった。これは人間の話…。
教育が行き渡っていなかったために予防接種を受けられず流行り病で死んでいった沢山の人や子供のための教育に熱を注ごうとする人や資本の力のみで同袍を救おうとする人や日本に生まれた日本人というだけで自分が優れた民族であるという思い込みの元に他者の尊厳を踏みつけている人などなどなどなど。
人間はみんな人間だし、摂理の中で戦う必要がある時(状態にある人)と、摂理と戦う必要がある時がある…立場とか所属とか教育とか民族アイデンティティとか文豪とか盛りだくさん。
母国語を喋っちゃいけないというエピソードもそうだけど、戦争して別の文化を侵略して壊して野蛮な土人どもが自分達と同じになるようにと(あるいは良かれと思って)傲慢に均していく様子も怖くて悲しくてしんどかった。
当時録音した演奏が繋がるところとかは時代が連続した時間の積み重ねであることもよくわかるし素直に素敵なエピソードだった。
捨て鉢になったポーランド人の男性がアイヌの女性を傷つけようとアイヌを侮辱したり、その中にあってもおまえには醜い入れ墨が無いからまだマシだがな!みたいなことを面と向かって言うシーンがあって、色々あって後にこの二人は結婚することになるんだけど、男がちょっと出張してる間に女は自分の顔に墨を入れる。帰ってきた男は女の顔を見て醜くてみっともないと感じるんだけど同じくらい、自らの強い意思で顔に印を刻み自分はアイヌの人間であるということを示す女を誰よりも美しいと思う……というシーンがあって、なんかここもメチャクチャ人間の話だ…となってやっぱり泣けちゃった。
このヤケクソ暴言侮辱エピソード、すぐに男は自分で「俺は何を言ってるんだ!?!?」になって反省して謝罪してその場は収まったように描写されてたんだけど、諸事情から入れなくてもよいとされていた入れ墨をあえてわざわざ男の不在中に入れる女がそこまですることだったんだということに読んでて気づけなかった私は頭を殴られたような衝撃を受けたし、作中のこの男はもっと衝撃を受けただろうと思うとなんかこのエピソードすごい印象深いんだよな……。
自分の中で大きな割合を占めるアイデンティティとそうでもないものがあって、前者は生きることとか死なないこととか命にかかわることもあるけど後者はぼんやり「自分はこんなかんじ」程度のもので、作中で出てきたことに関して私は後者で今まであんまり真面目に考えたり向き合ってこなかったなと気付かされた。
誰かにとっては戦って必死で手に入れたり取り戻さなくてはならないような大切なものが、自分にとっては戦わなくても簡単に入手できてる時、自分はそのことにあぐらをかいてそれを軽く見ていたり考えが足りなかったり傲慢になってはいないかちょっと真面目に向き合っていかないといけないな……。
読み終わってから面白かった〜!!^^と素直に思えるタイプの小説じゃなかったかな……。でも読めてよかった。
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