ゲ謎がアマプラ見放題に来たので見ました。
すごく良く出来た映画だったと思う。
めちゃくちゃ批判的な話をかなりしていて感心したというか驚いた。でも原作者を思えばそうなるよなとも。
桜の花とか象徴的すぎてずっとびびってた。
「腐敗した権力者に搾取される弱者の話」だし、搾取する側の唱える「大義のための犠牲になれ」を醜悪な欺瞞として描き出す反戦映画だった。
おためごかしの未来は訪れてない“けれど”…とか、お前が国のための犠牲になる必要なんかない!“けれど”、の話を終始していたのがキッズ向けタイトルの姿勢的な正しさあって嬉しかったな。
目玉の親父から逆算して作られたんだろうけど、「見る」というのが重要なキーワードになってて上手いな〜と思った。
妖怪の仕業だ!!!!てなるまでは普通のミステリっぽさがあったのも画面が良くて面白かった。
好きな戦闘シーンはゲゲ郎vs裏鬼道衆のところ。
最近読んでる横溝正史作品や京極夏彦作品に登場する「因習に囚われた村(島)」と同じく、所謂「因習村」というのは作品に登場する特定の地域だけの話ではなく、この日本という国に住まう人々の思考停止と醜い欲望の行き着く先の話なのだという印象を受けた。
突如挟まれたゲゲ郎の入浴シーンなんだったんだ!?お色気サービスショット担当!?て思ってたけど、よくよく考えたら目玉親父って毎回入浴シーンあるんだよな。お色気担当?
水木は最初から最後まであざといぐらいに「萌え萌え描写全部乗せ」みたいなヤオイシンボル(???)の男なんだけど、戦場PTSD由来の諸々と本人も「そういうのはちょっと…」と吐露しているためあんまりエッチな目で見れないみたいなキャラクターだった。
黒髪、短髪、安物のスーツ、顔に傷、野心、あさましくすさんだ瞳、喫煙、飲酒、浴衣、子どもに優しさを見せる姿、トラウマ持ち、鼻血、気絶、嘔吐、女と約束、血まみれ、斧、相棒との友情…、水木ってなんらかのビンゴ?
水木もゲゲ郎もあと0.5歩のところで自分のヤオイヘキには刺さらない奇跡の造形だったな…。
いやでも良いバディ映画だったよな……!?
妻と違って人間嫌いだったゲゲ郎が、自分たちを害してきた人間である水木(搾取される被害者)と触れ合って相棒と呼べるほど心を傾けるのなんかはボーイズラブの美味しいところだったし、その触れ合いは水木にとってもまたセラピーのような効果があって、しかし最後は記憶を失い悲しみだけが残るというのも逆算の美が感じられて良かった。
お互いがお互いを見つめ合う熱量がもう少しでもあったら危なかったので、私がもし彼らにカップリング萌えするのなら映画のラストシーンよりあとのことだろうなと思う(なんの話?)
沙代っていうか龍賀家が「エロゲー」の一族で結構びっくりした。鬼太郎(キッズコンテンツ)でこれを……!!??みたいな…
沙代もときちゃんもすごい可哀想だったよ。
クソじじいが狂骨に噛み砕かれるところって快哉を叫ぶシーンで合ってる?
沙代はあのトンネルを一人でも駆け抜けられたら良かったけど、それが出来ない(水木を見捨てられないという意味でも)時代の“普通の”女の子だったのがまた悲しい…もっと自分の意志で「全部めちゃくちゃにしてやる!!!!!」系の子だったら悲しみの中にもスカッとがあったかもしれないけど、そうじゃないのはある意味モノ扱いされる女性に対する誠実さだったのかなとも思う。えーん。
水木との出会い、水木的には上司に媚を売る心積もりもあったけど沙代から見たら「東京から来た王子様」みたいなロマンチックなシーンでさ、あの村の一族の悲惨な境遇の中にある彼女が水木を通して美しい夢を見るのもむべなるかなという残酷さがあった。
でも水木もまた自分がのし上がるために弱者を利用しようとしていた加害者でもあることがきちんと描かれてたのは良かったな〜(良いのか?)
時麿が「嫁取りも出来なかった」みたいなこと吠えてたけど、あの家の当主は一族の女を孕ませて龍賀の純血当主を作りたかった(外部には当主の種をまきたくなかった)のかな〜とか思うので、今作では加害者として描かれてる親世代だけどイエの被害者としての側面もあるんだよな…。ゲ謎の近新姦は近新姦の中でもかなり最悪な近新姦だ…。
時弥ですら恐らく長田と庚子の子どもではなく………、みたいな嫌〜な予感が散りばめられている。
映像も音楽もリッチで嬉しかった。
特徴的な音楽だからいつも他の作品だと結構すぐわかるのにゲ謎の音楽が川井憲次なの途中まで気付かなかった。
私が最近の鬼太郎を見ていないということもあってそれほど深くは刺さらなかったし、全体的にもう一歩〜半歩の物足りなさは感じられるんだけど、総合的に高水準の面白い映画だったと思う。
ゲ謎、愛による自己犠牲を選択した男が出てくるのでジワジワ好きになってきた。
私はここ十数年で「自分は自己犠牲が苦手!」という認識をようやく持てて長らくそう思っていたんだけど、最近は「お国とか親などの強者や権力のために自分を犠牲にせざるを得ないところまで追い込まれた弱者やマイノリティを美化されることが苦手」というところまで理解が深まってきてて、むしろ「自身できちんと考えた上で愛による自己犠牲を選択できる人のことを尊敬する」という気持ちが自分の中にあることがわかってきた。
ゲ謎の最後らへんの自己犠牲にはいくつかの文脈が乗ってるんだけど、その中でも「お前が犠牲になる必要はない」と自分事のように怒ってくれる友人がまずいて、その上で自らのエゴによって自己犠牲的な行動を選択するというのがかなり理想のヒーロー描写でもあったので良かったな〜。
エゴには「友人の生きる世界を見たい」というものも含まれているので、ここのバディってやっぱカップリングなのか………?という気持ちになってきた。
ゲ謎、エゴと正義を否定せず、大義のための犠牲を否定する映画がでかめにヒットしてるの嬉しいな。
世間で騒がれてるほどは刺さらなかったと思ったんだけど、色々考えてるうちに「東映ヒーロー」の補助線を引いたらかなり自分の好きなやつかもしれんの理解になってきた。
最近ずっと横溝正史と京極夏彦を読んでるせいで必要以上に食らってる可能性もある。
ゲ謎、水木とゲゲ郎の関係が顕著だけど恐らくゴールから逆算して書かれてるっぽい部分が沢山あって、シナリオはだから感情的な盛り上がりに心揺さぶられるというより丁寧な予定調和に感心するかんじだった。
でも情動的に深く刺さらなかった分、頭でウダウダ考え始めてからのほうが自分の場合はハマってるのかもしれないと思う。
とにかく映像が良いのとテーマに対してやるべきことをきちんとやってくれているのでこれが流行ってることが嬉しいな〜🥳と思ったし、そこらへんも加味して好きな映画になってる。
次にゲ謎を見る時、つるべ火のところで顔面ニチャァ……!!!!てならない自信が無くなってきた。あのシーン絵面が可愛すぎるから。
ゲ謎で一番「エッチじゃん……」てなったの孝三かもしれない…。
今軽い気持ちで検索かけてみて本当にびっくりしたんだけど、思いつめたモブ×孝三がすでにこの世にいくつも存在してるっぽく、ゲ謎くんのヒットに改めて感謝した。
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