ピンポイントでオススメしてもらった『リナ=インバースの記録』『ゼルガディス朧月草紙』『守れ! 我らが伝統文化!』を読みました。
■スレイヤーズ いんたーみっしょん『リナ=インバースの記録』(著 神坂一/25周年あんそろじー収録)
「※著者注 うろおぼえで書いています。ちょっと違うところがあるかもしれません」という弊ブログとかにもよく書かれているような一文から始まるので、こっちもそれなりにフムフム?と身構えて読み始めたんだけど、こんなニワカ読者にもわかるくらい明らか様子のおかしい内容でめちゃくちゃ笑ってしまった。
私は本編の、リナ視点から語られる登場人物の容姿の描写がすごい好きで、リナの主観も少しは入ってるんだろうな〜と思いつつ、でもそこらへんはさすがに信頼できない語り手でもないだろうとは思ってたんだけどここまで主観まみれの文章を読まされると「参りました🏳」としか言えなくなってしまう。
一番笑ったのゼロスの描写。
実は他にもう一人、おおむね黒い、ゼロスという人がいるんだけれど、いつもにこにこしているだけで、いい人みたいだけれど黒くて正義っぽくないし、あんまり役には立たないの。たぶん道にでも迷っているのか、今この場にはいないから、それはそれで別にいいとして。
227ページより引用
時間軸としては5巻と6巻の間の出来事かな?
魔族バレ後にこれが書かれるとしたらどういう描写になるのか死ぬほど気になるよ〜。
アメリア、こんなに暴走してるみたいな奴なのに、酔っぱらいに見えるような振る舞いは正義っぽくないからやめるとか、作中に登場する『正義』という単語の9割を減らすとか、『主人公:セイルーンの王女アメリア』の設定はさすがに盛りすぎだろ…という判断が出来てるあたり完全にシラフなのが逆に迫力があって面白すぎる。好き。
戦闘中に横切った子猫を見つけて「あ。子猫」つっただけであんなキャラクターにされちゃうガウリイも面白いんだけど、個人的にガウリイがある日突然そんなこと言い出したとしても絶対に飲み込めないことはない…みたいな絶妙な塩梅なんだよな、ブラックボックスがでかすぎて……(???)
…………いや今これ書いてて思ったんだけど、言葉は違うけど普通に言う気がしてきたな!?
実質……?概念………?チョイスされてる単語が妙ちきりんなだけで、ガウリナ観(?)としては実はそこまで間違ってなくないですか……!?!?離せ!私は真面目に言っている!!!!あばれるオタク!
「リナ、正義の名のもと、お前は俺が守ってやるからな、子猫ちゃん」←(正義はともかく)絶対言わないけど保護者を自称することで概ねこれをずっと態度で示しているのマジで何……?びびるんですが…………?
ていうかガウリイに限らず、アメリアから見た世界の再構築なので、脚色は過剰であっても本質はそこまでズレてないんじゃないかな〜みたいな気がしちゃうんだよね(ゼロスはまあ……、)(リナもまあ……概念的には頭もげてるようなもんだし……)(?)(???)
ゼルガディスの外伝(後述)を読んだところ、改めて「この人もクールに(見せかけられる相手にはクールに)見えて、めちゃくちゃ仲間思いの熱くて真面目な奴だな〜」とか思ったので、そこらへんもアメリアとわりと解釈一致なんだよな。
「たとえば、お父様に見せる『自分』と見せない 『自分』がある。他の人それぞれに対しても、見せ ている部分と見せていない部分がある。 それら『全部のアメリア』を知っているのは自分だけなんだけれど、だからといって自分で自分のことが本当にわかっているとは限らない。
なら、本当の自分なんていうものはどこにも存在しないのか――
いいえ。
どれも本当の『アメリア』なんだ、って。
国にとっての『アメリア』、お父様にとっての『アメリア』、お姉様にとっての、叔父様にとっての、 大臣たちにとっての……そして、わたしにとっての『アメリア』。
全部違うかもしれないけれど、全部本物なんだ、って。
〔中略〕
だからグレイシア姉様ご自身も、自分に対してなるべく客観的な視点を忘れないようにしながら、けど自分にとっての自分を見失わないように日々心がけて、より良く生きている――
それでいいんだ、って」240ページより引用
アメリア自身も『本当の自分』に関して悩んだ時期があるという話が出てくるんだけど、めちゃくちゃ上手いな!?と思うのが(他の作品は読んでないんだけど)これがアンソロジー企画であるという点で、要するに『読者や書き手の数だけリナ達がいる』という話でもあるんですよね、多分。
アニメも楽しくて面白そうだけど、今の自分には合わなくて残念だったな〜という気持ちがあるので、スレイヤーズという作品のメディアミックスに対するひとつの考え方として受け止めることが出来たのも良かったな。
もちろん、人間の多面性(内側/外側)という話でもあって、普通に良い話だ。
でも、このいいかんじのことを言ったのってあのナーガさんなんだ………???と思うと、超爆の4巻と『守れ! 我らが伝統文化!』しか読んでない奴でもだいぶ脳がバグるな……。
アメリアから話を聞いてリナの中の『グレイシアさん』のイメージが出来上がっていくほど真実を知った時のギャップが凄まじいことになりそう。もうどこかでバレてはいるのかな。
アメリア、リナの激しいツッコミやゼルガディスが一所懸命担当編集ムーブしてくれたのに対する悪気ゼロやる気マンマンな態度と、ガウリイの励まし・慰めに対する心の底からの落ち込みも面白すぎて可愛かった。
読んでる間中楽しすぎてずっと笑っていたので顔の筋肉が鍛えられました。
みんな可愛いな〜(*^_^*)
アメリアのトンチキ原稿を読んで心に大ダメージを食らいながらも敏腕編集者のごとく真面目に感想を語って添削して改善案や修正案を出してくれるゼルガディスくん真面目すぎてもう駄目です。
■スレイヤーズ外伝『ゼルガディス朧月草紙』(著 神坂一/スレイヤーズすぺしゃる18巻 跡継騒動 森林レンジャー 収録)
タイトル、『おぼろづき』じゃなくて『ろうげつ』って読むんだね。
ゼルガディスがひたすら格好良いお話だった。
でもちょっと間抜けなところもあって(ファイアーボールで民家にうっかり放火しちゃったところ)モブ的なゲストキャラクターと絡むからか、ゼルガディスにしては珍しくズルい度も高くて良かった。
本編がリナ視点の一人称小説なので、こういう他のキャラクターから見た仲間達がえがかれるのむちゃくちゃ興奮しますね。
えっえっこれはもうかなり理想の夢小説でしょ……と思いながら読んでいたので、性別が明かされるくだりもなんかしっくり納得だった。
今回ゼルガディスが対峙した相手であるランガスも元は人間で…、という対比が、ゼルガディスとランガスだけではなく過去のゼルガディスと今のゼルガディスの在り方や心の変化を鮮やかに写し出してて、ベタだけどものすごく良かったな。
三人称だからこそゼルガディスが『仲間』と出会ってからの心の変化が詳らかに語られていたのでなんだか照れちゃったんだけど、ランガスを切ったところで本人のモノローグでも素直にそういう…そういうことを言うのが…!!!!可愛い。
アメリアはわかりやすいし、リナも実はめちゃくちゃみんなのことが大好きだというのはもはやバレバレの事実ですが、ゼルガディスくんもそんなふうに思ってくれていたんだねえ……。
「おれは生きる。
しかし、絶望するつもりはない」190ページより引用
さ、最高〜!?
結局ゼルガディスってリナの類友なんだよな〜!という、似た者同士みたいな部分がある。
あと、この諦めなさはもしかしてレゾと通じたものがあるのかもしれないな〜と思うなどした。
レゾの諦めの悪さとか真面目さとか絶望しないところも、合縁奇縁に恵まれたなんらかの出会いがあったらもう少し良いふうに作用したのかな…。
ルークもミリーナとの出会いがよくも悪くも大きく影響してたしな…。どうかな…。どうなんだろうな〜〜〜。
そういえばゼルガディス、三人称であっても地の文で『かつて普通の人間だった時の、端正な容姿』とか書かれててニコッ☺笑顔になりました。二次元ルッキズム拗らせたオタクはこれだからよ。
しかしキメラって、老化とか寿命はどういうかんじなんだろう。
■『守れ! 我らが伝統文化!』(著 神坂一/スレイヤーズすまっしゅ 2巻 収録)
ウェイトレスのにおいって何!?てかんじだけど実際リナはウェイトレスの基本をお姉ちゃんから教わったこともあるらしいのでキモいけど侮れないモブだった。そうかな。
聖者像美少女化計画を阻止して伝統文化を保護するぞ!という話なんだけど、現在の一部のオタクにも重なる内容で面白かったです。
水運び競争、インチキ予防の頭脳戦や、物騒な魔法や、どこの森にも必ず一人はいる謎の殺人鬼(やっぱりメギド度が高い)などが登場してずっと愉快で楽しかった。
ナーガの挿絵もおかしすぎて笑っちゃったよ!
グルじゃない証拠を示すために先にリナから殺そうとするナーガハチャメチャで面白くて、これ本当にグレイシアさんなのか……!?て笑いながら混乱しました。
でもフィル殿下の娘でアメリアの姉だと思えばまあ納得できるラインかなみたいな…。
美学があるっぽくて良いですね。勢いのある元気なぽんこつキャラクターは好きです。
どちらかというと最後の一文(伝統をリニューアル〜)がメインテーマで、ガワ(権力者や一部の男たちの身勝手な欲望に従い、公の場でカジュアルに女体をモノ化して消費する文化を盛り上げることで大衆の感覚麻痺を促進するのはやめよう)はそこまで重要でもないのかな…?
でもリナがこういう女性だからこそキレて戦う展開になるわけで、そういうところスレイヤーズらしい良さが溢れていると思う。
少なくともこのお話が書かれた時代・場所・背景によるなら、アラーナ村の男達の行動は冷静ではなく、みっともないものであるという共通認識が存在していたんだなあ…。
変化することすべてが悪いものではないという注釈もついてるし、なんてまともなんだ……。
色んな宗教の関係者や、実在する有名人や偉人が露出度の高い衣装を着せられた美少女キャラクターになってたり、敬意とか無くカリカチュアライズされたコンテンツが氾濫する世の中において忘れちゃいけない大切な視点でもあるんだよな〜と思いました。自戒でもある。
どれも面白かったです。
読めてよかった〜!
※コメントは最大10000文字、5回まで送信できます