夜歩く、連載開始から80年近く経ってるらしいのに初めて読んだ人間の脳のBL野を活性化させる力を持つ小説(差別描写もえぐい)
続きからネタバレしている感想。
今作よりも前に読んだシリーズのネタバレはあまり無いはず。
小説に登場する差別的な表現や性加害の話などが出てきます。
古い名家の主人と家臣とか、金庫にしまわれる妖刀村正(仮)とか、結婚の予言と脅迫状とか、首のない死体に同じ傷とか、座敷牢に閉じ込められている気の狂った女とか、信頼できない語り手とか、今作も面白い仕掛けが盛りだくさんで楽しく読みました。
今作の語り手は金田一耕助の友人・横溝正史ではなく三流探偵小説家の屋代寅太。
語り手が違うからなのか(?)いつも以上に病人や女性に対する差別や蔑視が酷い。
八千代、そんなに何度も語られてるほど無軌道なヤバ女か……?(具体的なヤバエピソードが初対面の蜂屋を撃ったことしかなくない?)(大概かも…)と思ってたけど、共犯者であることを加味すればヤバ女かな………!ってかんじなんだけど、それはそれとして犯人からの扱いが酷いし、八千代の代わりに蜂屋に乱暴されたお藤も、彼氏の友人になぶりものにされたお静も可哀想すぎて結構しんどかった。
仙石父に暴力振るわれてるお柳さまとかもさあ、「この後めちゃくちゃ盛り上がった」みたいなかんじでエロエロっぽく書かれてるけど普通に酷いんだよな。まあプレイだというならまあ……うーん…。
なんていうかこう、女の扱いがマジでマジで酷くて本当に最悪なのに、被害に遭った人達が一部を除いて喜んでたり、最初は無理やりだったけど深みにハマって自分から求めるようになってたり、都合の良いエロコンテンツみたいなかんじなのがウーーーーーン……てなるんだろうな。
時代もあるとはいえ、そこは本当に気が合わない。
筋金入りの女性蔑視の気配がする。
関係ないけどお喜多婆さんがしつこく何度も指差してるとこちょっと面白だったのなんだったんだ。
まあ私もまんまとミスリードに引っかかって、主犯が直記で共犯が八千代だと思ってたから気持ちわかるけど。
もしくは、実は四方太が主犯……?とか疑ってた。
Wikipediaによると“佝僂病”は『アルプスの少女ハイジ』に登場するクララが患っていた病気でもあるそうです。知らなかった。
タイトルの『夜歩く』は夢遊病のことなんだけど、これもハイジに出てきたやつだな……『夜歩く』ってもしかしてアルプスの少女ハイジなのか…?(そんなわけないだろ)
語り手が違うということはつまり金田一耕助を知らない人から見た金田一耕助が語られるわけです。これがまた良い。すごく良い。最高。
モブキャラ視点の夢創作が好きということもあって、金田一の活躍を知らない・舐めてる・バカにして邪魔に思っている初対面の奴らの態度が描写されるたびに大喜びしてしまった。
第一部は東京だけど、第二部は岡山で起きた事件だから磯川警部も登場して、
なんと驚いたことに、ひと眼で警部としれる男が、金田一耕助といかにも親しげに話をしているところであった。警部の金田一耕助に対する態度には、親しさを通り越して、一種畏敬の念さえほの見えるようであった。
241ページより
とか書かれるほどイチャイチャする。イチャイチャ?
しかも、いつもの金田一耕助は「すべてに間に合わない」系の探偵なんだけど、今作では
・そもそも登場が遅いため「犯人にまたしてやられた」感がない
・最後の殺人を止める
・犯人生存ENDを迎える
という活躍を見せます(え!?犯人死んでないよね!!!!????)
これには本当に驚いた。金田一耕助が間に合うことってあるんだ。
いや3人は死んではいるんだけど、これの前に読んだやつの犠牲者数が特に酷かったからより少なく感じられるみたいな…!!麻痺してるな……感覚が……!!!
さすがに今回の犯人には魅了スキルも効かないか…と油断していたところ、最後に犯人の手記で
「金田一耕助が万事ひきうけたといってくれた。私はあの男を信頼する。私を打ち負かした憎い男だが、私はなんとなく、あの男には好意が持てるのだ」
295ページより
とか語られてて「ノルマか???」てなった。
比較的短い登場ページ数の中で小便するシーンが二回も登場する金田一耕助とか何!?ってかんじだけど、一般人から見た金田一耕助がいっぱい語られてて良かったな。
瞳が澄んでるらしいです。
■以下は最悪BLでメチャクチャになってた記録
夜歩く、最初に思ったのとは別ベクトルで男男間巨大感情(間に女を挟んだりするから悲劇が起こるんだろ……!!!!!)の話で、執着拗らせ主従友情復讐憎悪BLとしてもなかなかに強いのでは……???
前世からの因縁に加えて(それもすごい話だ……)もとを辿れば仙石→屋代の謎の執着が引き起こした事件じゃん………??
縛り付けられてビンタされてんのに目覚めてすぐ屋代が自分を助けに来てくれたと思える仙石あまりにも屋代のこと信頼しきってて(従者/幇間を見下してるともいえる)傲慢すぎる抱かれない受け…………!?
屋代が仙石を抱いていればと思わずにいられないけど屋代は仙石に対してああいうかんじだから望みなし!!!
屋代と八千代の関係性からいっても「抱いたから何?」ってかんじになるだろうしな……。
でも仙石の場合思いっきり下手に出て素直に頼めば屋代も征服欲とか支配欲が刺激されて行けたと思うよわりとマジで…いやどうだろう……ないか…?ないな?
むしろ仙石のことだからもっと強引に振る舞って屋代を犯す側なんだろうな…お静にしたことを思うと………。
ていうか愛する屋代の彼女だからこそお静が壊れるまでなぶったのか……?女を巻き込むんじゃない!!!💢💢💢最悪すぎる!!!!!!
幼い頃から心に傷を負うレベルで祖父母から繰り返し聞かされてきたご先祖様の昔話に登場する仇の子孫が目の前に現れて……、とかも因縁BLのお手本みたい……。
仙石から屋代への執着だけでなく、屋代から仙石にも因縁的な執着心があったんだろうな…。
仙石の他に頼るあてが無かったにしても戦争に行くときにあえて恋人を任せていったのだってそれなりの信頼があったからだと思うし、その信頼を最悪な形で踏み躙られたのが屋代視点なんだからそりゃもうえげつない復讐にも走るよな……。
仙石視点だと女に不自由してないようなボンボンが、遊びのつもりか嫉妬に駆られて(?)友人の彼女をなぶりものにして壊したということになるし、壊れたあとわざわざずっと誰の目にも触れないよう死んだことにして閉じ込めておいたのもまたこう……屋代にはそのことを知られたくなかったんだろうな……というのが伝わってきて…………何……???最悪BLだよ!!!!!!!
ていうか仙石、屋代と一緒に寝てる時に夢遊病の症状が出てお静のことがなんらかの形で屋代にバレるパターンとかは考えなかったのかな!?ガバだね!

横溝正史とはBLの趣味が合う気がしてきた。
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