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2025年12月

森岡正博『決定版 感じない男』(ちくま文庫)
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>“ポルノを規制するかどうかという以前に、現に働いている女性たちを泣き寝入りから守るための組織が必要である。〔中略〕彼女たちへの人権侵害を阻止する何かの手だてがまずは必要である。そのうえで、人を性的にいじめたり、困らせたり、傷つけたり、泣かせたりする作品を見たいという欲望を、社会のなかでどうしていけばいいのかを考えるべきだろう。男だけではなく、女の側にもこうした欲望がある。これは両性にとっての課題なのである”

2025年10月

「日本では年間360人以上が殺されてるけど、ピークは1954年で、その頃は殺人事件が年間3081件とかあったらしく、なんだかんだいっても長い時間をかけて人類は凶暴性を教育や理性で抑え込んでいるんだよなあ」という話が読んでる本に出てきている。
治安が悪くなっているという体感は、SNSやテレビで報道されてるのを見てそう強く感じているだけで、統計を見ると実は昔よりかなりマシになってきているという話。

川合伸幸 著『ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか』(講談社現代新書)
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長い時間をかけて様々な要因から人類は少しずつ凶暴じゃなくなってきてるらしい。

>“現在の日本では、年間三六〇人以上が殺されているので、毎日だれかが殺されていることになります。日本の殺人事件の件数のピークは、一九五四(昭和二九)年で三〇八一件でした。当時の人口は、八八二三万人ほどでしたから、いまよりかなりの高頻度で殺人事件が起きていたことになります。”

バイナリな話だな〜とは思うものの、ヒトの攻撃性には性差があって、男性は衝動性に任せて相手を直接攻撃するけど、数々の実験結果によると女性は仲間外れ(村八分)にすることが多いらしい。
ただし人間は仲間外れにされると戦場帰り並みに脳が傷ついてPTSDを発症するそう。
子どもの頃、仲間外れなどを含むいじめに遭ったことのある人は大人になってもうつ病ほか精神疾患で苦しんだりすることが多い。
また、とあるFtMの人の脳のある部位を調べたところ、サイズ感(?)とか造りが男性の脳と同じかんじだったらしい。

①何もしてない人が酷い目に遭った場合
と、
②悪いことした人(罰されて当然だと認知している人) が酷い目に遭った場合

の映像を見せると、

女性は①に対しても②に対しても同情・共感を見せて(※脳のそういう情動を司る部分が反応する)つらみを感じるのだが、
男性は②に対してザマアみさらせ良い気味だ!!最高!!!!!みたいな部分が活発になって脳が興奮してしまうらしい?(要約) マジかよ

悪いことした人が酷い目に遭って「最高!」とまでは思わなくても、②の場合、男性は同情とか共感を司る脳の部分がスン……てなってるらしい。

攻撃的だったり利己的すぎる個体を追放することで人類は凶暴性を捨て他者に対する献身的な姿勢や思いやりを持てるように進化(自己家畜化)してきたとすると、それには、自分たちにとって不利益を齎すと思われる者に罰を与えることに対して快感を覚える脳の仕組みが必要だったのではないか?みたいな話。

>"痛みに対して活動する脳領域は、公正にふるまった人が痛い思いをしているのを見たときのほうが、不公正にふるまった人が痛がっているのを見たときよりも、強く活性化していました。
 さらにこうした違いには男女で差があることがわかりました。女性は自分に不公正なふるまいをした相手に対しても多少は痛みの共感を示したのに対し、男性ではほとんど共感らしい活動は生じませんでした。

 それどころか男性では、不公正なペアの相手が痛がっているところを見たときには、腹側線条体の側坐核など、脳の報酬に関わる領域の活動が増加したのです。これらの領域は、セックスやドラッグやお金を受け取るときに活動する快感と関連した報酬の神経系です。どうやら少なくとも男性は、罰を受けるに値する人間が罰を受けるのを見ると、快感をおぼえるようです。ただし、このような報酬系の活性化は、女性には見られませんでした。"



えー!?でもこれ本当かなあ???悪いことした人が酷い目に遭って「最高!!!!!」ってなるの、性別問わずだと思うんだけどな。
そうでなければ女性向けコンテンツでもこうまで「ザマァ系」って流行らなくないか?????リアルとフィクションは違うのかな……?実験で酷い目に遭わされた人の属性が女性に近かったとかではなく……??みたいなことが気になった。

男性向け創作の「メスガキわからせ」流行とかも「(自分達の認識で)悪いこと」をした相手を酷い目に遭わせて気持ちよくなる脳の働きに関係してたりするのか……?  とか、女性向け創作の「エッチなお仕置き」も脳の似た部分が刺激されてるのか……?みたいなことを考えた。

自分が最初「そうでもない」と思ったものを他の人が「すごく良い!」と言っていることを知った人が次にそれをどう思ってるか聞かれた時に自分の意見を変えて「すごく良い」と言ってしまう時、脳の「周りの意見に合わせて自分の意見を変える時に反応する部位」が動いてる?らしいんだけど、それとは逆に、周りの意見とは正反対であっても自分の意見を貫こうとする時、脳は「苦痛」を感じているそうで、それって定型の話じゃない???と思った。
稲田 豊史 著『映画を早送りで観る人たち〜ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形〜』
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「そうかな……?」と思う部分もあったけど、概ね「なるほどな〜…!」と思う内容で興味深くて面白かった。作品への触れ方は時代やその人の生活スタイルや性質なんかに合わせられるよう多様なほうが良いと私も思ってるんですけど(本の中でもそういう話をしている)、倍速視聴でもかじりつかなきゃ話題に乗り遅れてしまうという不安を抱えてる今の若者の大変さを思うとちょっとしんどい。あと失われた30年の影響がここにもあるのかとか。

作品を体系的に観ることをしないのは今どきの若者だけでなく、中年になった自分もそうだな〜。
昔は気に入った作品の作者は調べられるだけ調べて過去作や次回作にも注目したり、漫画だったら同じ掲載誌の作品も一緒にチェックするかんじだったけど、今は作品は作品単体だけで楽しんで終わらせてしまう。
作品も情報も溢れてるから、ネットの無い時代のような入れ込み方をするのは逆に難しい。

自分が年を取って衰えてきたからそういう深堀りが出来なくなったのかなとも思ってたけど、可処分時間は減ってるのにコンテンツで溢れかえってる今の時代に昔の「マニア」みたいな掘り方するのは難しいよなあ…。

推し活とか、「良い感想だけを言い合う」ことばかり重視して、評論や批評に対する忌避感が強いというのも様々なファンダムで死ぬほどよく目にする光景だ。
ポジティブなことしか認め合えない環境で、たまにネガティブなことを言われたりすると異様なまでに傷ついたり攻撃的になるのはむしろ多様な他者の意見を認めて個性を尊重し合うのとは真逆の「不寛容」な姿勢なのでは?という話は確かにそうだよな〜と思ってしまった。

ただ最近、桜庭一樹先生の『読まれる覚悟』 を読んで、当たり前だけど批評とかも社会や時代から逃れることは出来ないわけだから、より良くあろうとする人達の頑張りによって少しずつアップデートしている部分もあるんだなということを改めて知ったばかりなので、今後もし「オタク」に揺り戻し的なことが起こった場合、心酔して熱狂するばかりの推し活ムーブメントが批評的な精神と融合していくケースもあったら面白そうだな〜と思った。
『虚構推理 忍法虚構推理』(城平 京,片瀬 茶柴)|講談社
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原作新刊出るんだ!!!!! 10月15日ね!!!!やった〜!

2025年7月

中世イヌのくらし 装飾写本でたどる | 株式会社美術出版社|アートを社会に実装させる
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良い本だった

2025年2月

マンガの原理
https://www.kadokawa.co.jp/product/32231... 
著:大場 渉
著:森 薫
著:入江 亜季
定価:2,420円(本体2,200円+税)
発売日:2025年02月04日
判型:B5判
ページ数:144

私はハルタ系の漫画って体調が良くない時とか認知機能が落ちてる時に読むのがかなり難しくて積みがちなんだけど、「耐久性のある漫画を作る」という確固たる意志に基づいた縛りまみれの中でパズルのようにギッチリ知恵と技術とセンスと情熱が詰められてああいうかんじの漫画になってるんだな〜というのがよくわかってなるほどだった。

私は漫符とかフォント芸の使われてる漫画もすごい好きだし、漫画はもう電子で買うことのほうが多いから1ページのコマ数は最高5コマくらいが読みやすい……と思ってるけど、ハルタの漫画はこう!耐久性のある漫画はこう!!という拘りと漫画への執念(愛って言いなよ)がめちゃくちゃ伝わってきて面白かった。巨匠達の凄まじいテクニックが惜しみなくお出しされてるのもびびる…本当に漫画が大好きなんだろうな……。

とにかくすごすぎる本。

2024年12月

「好きだと思った人と二人で組んで作業してもらいます」と言って、集めた全員と面接。

面接後、対象Aには「あなたと組みたいと言う人が誰もいなかったので、あなたは一人で作業してください」と告げ、対象Bには「あなたと組みたいと言う人が多すぎたので、公平を期すためにあなたには一人で作業してもらいます」と告げる。

作業内容はクッキーの味比べ。AもBも「一人で作業する」というのは同じ。
しかし、どの場合もAはBの倍以上の量のクッキーを食べるという。しかもAがクッキーに感じる味は「普通」かそれ以下で、特別美味しく感じることはなかったらしい。

人間は不安や孤独感などのストレスを紛らわすため、甘いものや脂肪分の多いもの、体に悪いものをこそドカ食いしてしまう…みたいな実験が今読んでる本に出てきて、そんなん実体験で知ってた速報だけど、思わず何故そんなムゴいことを……!!!!てなっちゃった(そういう実験だからだよ)

「誰もお前を愛さない」じゃん…!

ジョン・T・カシオポ,ウィリアム・パトリック 著/柴田 裕之 訳『孤独の科学 人はなぜ寂しくなるのか』(河出書房新社)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309...

2024年11月

『「人工冬眠」への挑戦』(市瀬 史):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?...
寒くなってきたから(?)人工冬眠の本を読み始めたけど、同じ哺乳類でも冬眠するリスや熊の生態すげーーー面白いな!

熊は冬のあいだ冬眠してても筋力が落ちたりしない仕組みになってるし、リスなんかはわざわざ「睡眠」をとるために体温ちょい戻して冬眠から目覚めるのを繰り返すらしい。

2009年の本で、人工冬眠は近々絶対実現するだろうみたいな話なんだけど、そんなに現実的な話なら一部のお金持ちとかはSFみたくもうすでにやってたりするんだろうか…(まだ読んでる途中なのでどうしても胡乱な感想になる)

地獄先生ぬ〜べ〜に、古い化石が見つかったのかと思ったら実は何年も生きてたカエルで、そのカエルの呼吸法を使ってバスかなんかの事故からみんなで仮死状態になって生還する話があって、あれはフィクションだけどこの本で紹介されてる九死に一生を得た人達は、

事故とかで低体温になる→救助されて集中治療→元通り元気な体になるのケースで、

低体温が不老の鍵では?とか言われてて、ちょっと近いものがある。
朱喜哲 著 『〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす』(太郎次郎社エディタス) http://www.tarojiro.co.jp/product/6397/
次は自分が報われる(良い思いが出来る)番のはずだったのに、突如現れた「新しい人*」に「割り込まれた」と感じる被害者的な気持ちが、これまでルールを守って誰よりも頑張って生きてきたと自認するマジョリティの中に確実に強く存在してて、それが適切にケアされず蔑ろにされたままであることがトランプなんかに煽られて分断を生んだ原因のひとつにあるというような話が出てくるんだけど、

差別や加害はもちろん駄目だし被害者が加害者をケアしなきゃならないなんて道理は無いんだけど、やっぱりそこらへんの鬱屈や不満もなんとかしないと誰もがより良い未来に進むことは難しいんじゃないか…?と改めて思ってしまった。
(*非白人、性的少数者、移民、障害者など、本当は昔から普通に存在していたのに透明化されていただけのマイノリティ)

トーンポリシングが良くないというのもわかるし、毅然とした態度が必要なこともわかるんだけど、それと同時に、わかりあえない相手を「敵」と見做してそのように振る舞うことの行き着く先を思うと…なんか……自分が目指してるより良い未来は…それじゃないかも………!!!!ってなるんだよな…。
でも自分が今よりもっと追い詰められたり限界になった時には世界を「敵」と「味方」でしか認識できなくなるかもしれないみたいな予感もあるから、難しい………そうなる前になんとかなりたい…。